◆ 研修の概要
現代の保育環境は、単なる業務の遂行ではなく、保育士一人ひとりが主体的に考え、行動し、組織全体の成長を促すことが求められる時代へと変化しています。質の高い保育を実現するためには、自己リーダーシップを持ち、園の文化や組織風土を築いていくことが重要です。そこで、私たちは「7つの習慣®」を活用し、保育士が自らの成長を促しながらチームとしての結束を強められる研修を企画しました。
2023年8月3日から2024年3月25日までの期間にわたり、学校法人K様の職員を対象とした全8回の研修を実施しました。昨年度は園長や主任を対象にした研修を実施し、今年度は職員全体へと拡大しました。この取り組みにより、学園全体が共通の価値観を持ち、より良い保育環境を築くための基盤を整えていくことを目指しています。
◆ 研修の目的
変化の激しい社会において、保育士が主体性を持ち、子どもたちのために質の高い保育を提供することが求められています。本研修の目的は、保育士一人ひとりが「自己リーダーシップ」を発揮し、日々の業務において積極的に考え、行動できる力を養うことです。
「7つの習慣®」は、時代を超えて多くのリーダーたちに活用されている普遍的な原則です。この研修では、そのエッセンスを学びながら、保育現場でどのように実践できるのかを具体的に考える機会を提供しました。自己の成長を促すだけでなく、園全体の保育の質を高めることを目指し、受講者が主体的に学び、行動を変えることができるように設計しました。
◆ 研修の形式と内容
今回の研修は、対面とオンラインの両方の形式を組み合わせて実施しました。対面研修では、参加者同士が直接意見交換を行い、保育現場での具体的な課題を共有しながら学びを深めました。オンライン研修では、Zoomを活用し、講義形式の学習に加え、グループワークを行いました。
研修の中では、「7つの習慣®」の各要素を学び、それを実践的に活用できるように工夫を凝らしました。
具体的には、スライドを用いた講義のほか、以下のような教材やワークを取り入れました。
- 7つの習慣を分かりやすくまとめた資料を活用し、理解を深める
- VTR教材(全10本)を視聴し、事例を基にディスカッションを行う
- 実際の保育現場で起こりうる30のケースを取り上げ、グループワークを実施
- 7つのチャレンジ目標を設定し、それを日常の保育業務にどう活かすかを考える
このような実践的なアプローチを取り入れることで、受講者が研修内容を現場で活かせるように設計しました。
◆ 研修の様子
研修では、参加者同士が積極的に意見を交わし、実際の保育現場での悩みや課題を共有する場面が多く見られました。対面研修では、活発なディスカッションが行われ、参加者が互いの考えを尊重しながら学ぶ姿勢が印象的でした。一方、オンライン研修では、Zoomの機能を活用し、小グループでのディスカッションを行うことで、対面と変わらない質の高い学びを提供することができました。
たくさんの保育士が参加したことで、多角的な視点からの意見が飛び交い、それぞれの役割に応じた気づきを得ることができたのも大きな成果の一つです。特に、日々の業務にどのように「7つの習慣®」を取り入れることができるかについて具体的なアイデアが多く出され、実践に向けた意識が高まりました。
◆ 参加者の声と気づき
「研修を受けて、人や物事の見方が変わりました。忙しい日々の中でも視点を変え、他の先生方の意見も取り入れることで、より良い保育ができると感じました。」
「第1の習慣を学び、子どもたちの行動に対して即座に反応するのではなく、一時停止ボタンを押して、背景を考えて対応することの大切さを学びました。」
「第2の習慣では、園の保育理念や目標について改めて考える機会になりました。これまで意識していなかった理念を再確認し、より明確な目的を持って働くことの大切さを実感しました。」
「第5の習慣の『相手を理解してから理解される』を実践することで、子どもや保護者との関係がより良くなると感じました。共感を持って相手の話を聴くことの大切さを改めて学びました。」
「第6の習慣を通じて、違いを尊重し、チームとして成長することの重要性を学びました。異なる意見を持つ人とも建設的に話し合うことで、より良い職場環境を築くことができると感じました。」
◆ 研修の成果と今後の展望
本研修を通じて、自己リーダーシップを持つ保育士が増えることで、園内の人間関係の改善やチームワークの強化が期待されます。「7つの習慣®」の共通言語化が進むことで、理念や目標を共有し、より質の高い保育を実現する基盤が整ってきました。
今後も研修を継続し、職員一人ひとりが自己成長できる機会を提供しながら、組織全体の質を向上させることを目指します。
次年度も、学校法人熊田学園の保育士向けに研修を実施予定です。引き続き、学びの機会を提供し、より良い保育環境の構築を支援してまいります。